“すごく古い”がいっぱいある街

北イタリア・ベネト州の都市「パドヴァ」。
ベネト州ではベネチア、ヴェローナに次ぐ第3の街。
ベネチアからは車で30分くらいと結構近いのに、日本からの観光客はベネチアから足を伸ばそうという人は少ないみたい。

でも、ここには歴史的建造物がたくさんあるらしい。ということは文化度が高い街ということかな。

それじゃ今回は、パドヴァで歴史と文化を堪能してみよう。

・北イタリア最古の街
・ローマ時代の遺跡の名残り
・イタリア最古の時計塔
・最古のカフェと大学
・大聖堂近くには最古の植物園

日本からパドヴァに直接行く方法は無いので、まずはミラノ国際空港まで約12時間のフライト。
日本からイタリアへ行く時はミラノかローマが基本だけれど、僕は結構ミラノの方が多いみたい。
特に理由は無いけれどね。

ミラノからはイタリア鉄道でパドヴァ駅へ。

途中、車窓を流れる風景も旅のご馳走だね。
約2時間でパドヴァ駅に到着。あっという間という感じ。

北イタリア最古の街

パドヴァの市内観光には「パドヴァカード」というバスとトラム(路面電車)が乗り放題のお得な交通カードがあって便利だけれど、パドヴァの見どころはかなり中心部に固まっているので、徒歩でも十分大丈夫。

というより、自分の足で歩いた方が街の細かいところまで良く分かるし、時には思わぬ発見や出会いがあるので、こっちの方が僕は好きだね。

パドヴァ駅。
これ自体は歴史的建造物ではないけれど、何となくイタリアらしい機能美が感じられる。

パドヴァは劇作家シェークスピアの喜劇「じゃじゃ馬ならし」の舞台として有名だよね。
また、ここから電車で40分ほどのヴェローナは、ご存知「ロミオとジュリエット」の舞台。

あ~、文化度高そう!

駅前にあるパドヴァ市街中心部の地図。

駅はこの地図の上の方で大体の見どころが固まっているのがわかるね。
じゃあ、ここから南に出発!

ローマ時代の遺跡の名残り

パドヴァは北イタリア最古の都市なのだそう。
紀元前9世紀頃には広くこの地域の文化・経済の中心で、当時としてはローマに次ぐ大都会だったらしい。
そのためパドヴァは「富裕の街」とも呼ばれていたんだって。

パドヴァ駅から10分程歩くとブレンダ運河を渡った先にアレーナ公園がある。
名前から分かるようにかつてローマ時代、ここにアリーナつまり競技場があったのだそう。
2000年くらい前の競技場の跡、何だか古すぎて実感が無いなぁ。

この公園にあるのが、パドヴァの裕福な銀行家エンリコ・スクロヴェーニが14世紀初めに建てた「スクロヴェーニ礼拝堂」。
当時のカトリックの教えでは、金融は忌み嫌われ罪とまで考えられていたので、彼は一族の罪の浄化のために建てたのだそう。
堂内ではジョットの最高傑作とされる壁画が見られる。

 

同じアレーナ公園にある「市立博物館」はかつてアウグスティーノ会の修道院として使われていた建物を利用している。
館内ではティントレットやヴェロネーゼなどの作品が鑑賞できるよ。

イタリア最古の時計塔

アレーナ公園からさらに南西に15分程歩くとシニョーリ広場に出る。
右を見ても左を見ても重厚な歴史が建っているぞ。

シニョーリ広場近くにある「サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂」。
通称は「ドゥオーモ」で紀元前1世紀頃に司教座大聖堂として創建され、1075年に建て替えられた。

しかし、1117年の地震で被災し、今あるのは16~18世紀にかけて再建されたものとのこと。
右隣に建っているのは礼拝堂で、保存状態の良いフレスコ画が見られる。

シニョーリ広場に面して建つのが、イタリア最古の時計塔。

パドヴァは13世紀頃からコムーネ(自由都市)として発展し、15~19世紀にかけてベネチア共和国の支配下だった。
その当時の総督官邸がこの建物だったらしい。

この時計は良く見るとどこかで見たような気がするよね。
そう!ベネチアのサンマルコ広場にある時計とそっくり。
でも、こっちの方が古いってことが分かったね。

このシニョーリ広場では定期的に市が立つとのこと。

シニョーリ広場の東にはサローネとも呼ばれる「ラジョーネ宮」という大きな建物がある。

13世紀に裁判所として建てられたようだけれど、中には大きな部屋が沢山あり立派なフレスコ画も多く残されている。
古代ローマ時代からこの辺りがフォロ(街の中心)だったらしい。

ラジョーネ宮の北にはフルッタ広場、南にはエルベ広場があり日曜以外の毎朝、野菜や果物などの露天が並んで地元の人たちで賑わうのだそう。

最古のカフェと大学

ラジョーネ宮からさらに東に進み、フェップラーイオ通りに出ると、そこにはパドヴァ最古のカフェがある。

パドヴァ最古のカフェの名は「カフェ・ペドロッキ」。
1831年創業のパドヴァで最も有名な老舗カフェ。

イタリアのカフェは単なる喫茶店ではなく、芸術家や思想家といった文化人が集まって議論を交わすサロン的な役割を担ってきたのだそう。
実際、カフェ・ペドロッキはオーストリアとの独立戦争の際には政治サロンとして役割を果たしたそうな。

ここの名物メニューは店名と同じ「カフェ・ペドロッキ」という、エスプレッソにミントクリームがかかったもの。
甘さと爽やかさで評判だとか。

2階には小さな博物館も併設されているよ。

カフェ・ペドロッキからフェップラーイオ通りを南に少し歩くと市庁舎がある。
市庁舎に限らずどの建物も気品というか歴史を背負っているって感じだね。

この市庁舎の斜め向かいには1222年創立のイタリアで2番目に古い「パドヴァ大学」がある。
ダンテやガリレオ・ガリレイが教鞭をとり、コペルニクスが学んだというから、すごい!のひと言だね。

ちなみに、イタリア最古の大学は「ボローニャ大学」。

大聖堂近くには最古の植物園

市庁舎からさらに南に15分ほど歩くと、スクロヴェーニ礼拝堂と並ぶパドヴァ観光のハイライト「聖アントニオ大聖堂」が見えてくるよ。

「聖アントニオ大聖堂」、つまり「バジリカ・ディ・サンタントーニオ」にはパドヴァの守護聖人サンタントーニオが祀られているのだそう。
サンタントーニオさんは、探し物や結婚・花嫁などの聖人で、キリスト教の聖地として世界中から多くの信者が巡礼に訪れるみたい。

また、この建物はロマネスク、ゴシック、ビザンチン、イスラムなどの様式が融合した建築物で、芸術的にもとても貴重なのだとか。
聖堂前にはドナテッロ作のガッタメラータ騎馬像があるよ。

そして、聖堂のすぐ近くには、1545年開設の「パドヴァ大学付属植物園(オルト・ボタニコ)」がある。
6000種以上の植物を擁するこの植物園は大学付属植物園としては世界最古で世界遺産にもなっているんだって。

歴史と文化と芸術まみれになった街から駅に戻って来た。

2000年以上前の遺跡がそこら中にあって、世界最古やイタリア最古のものに普通に触れられ、ジョットのフレスコ画をあちこちで見ることができて……あんまり”すごい”がテンコ盛りにあると、何がすごいのかわからなくなってくるのは僕だけでしょうか?
つまり、慣れるということは“郷に入りては郷に従え”ということかな。

でも、イタリアで鉄道だけはまだ慣れない。
僕は今、ヴェローナ行きの普通列車を待っているのだけれど、行先表示の時間を40分過ぎても、まだ来る気配すらない。

ちょっと近くのバルでビールの1杯とも思うのだけれど、駅ではアナウンスも発車ベルも無いから、その間に列車が行ってしまったらすごく悔しい…。

あ~、動きが取れないというのはこのことか?

なんちゃって。