「アンダルシア」と聞いて直ぐに思い浮かぶのは、グラナダのアルハンブラ宮殿、コルドバの歴史地区、あるいはセビリアの大聖堂あたりかな。
おっと、もうひとつあった。「コスタデルソル」だよね。
日本語で「太陽海岸」と訳さなくても、そのまんまで、スペイン感も太陽サンサン感もテンコ盛り!
そのコスタデルソルの中心にあるのが「マラガ」という街だ。
よし、コスタデルソルで太陽と地中海まみれになってこよ~っと。
では、有名なグラナダもセビリアもスルーしてマラガへ!
だって、これが僕の旅のスタイルだもん。
日本からマラガへダイレクトに行くことはできないので、国際線で一旦マドリードまで行き、そこから国内線または列車で向かうことになる。
マラガはアンダルシア州にある8つの県のひとつで、マラガ県の県都(県庁所在地)。
人口は57万人(2017年)程なので姫路市より少し多いくらい。
でも、このマラガだけでアンダルシア州の観光収入全体の4割近くを占めているらしいので、相当な観光都市だね。
マラガの歴史は結構古く、紀元前8世紀頃にはフェニキア人による「マラカ」という都市国家があったそうな。
その後、イスラム勢力やキリスト勢力の支配を経て、それぞれの文化の痕跡が街のあちこちに色濃く残されている
今回はマドリードから列車を使ってマラガに着いた。
スペイン国鉄で3時間弱。車窓を楽しんでいるうちにすぐという感じ。
マラガ駅は高速線開通に合わせて、ショッピングモール併設の近代的な大きくて明るい駅舎になったけれど、この写真は改装前のもの。
新しいのもいいけれど、この風情はいかにもヨーロッパの駅という感じで、味があって僕はこっちの方が好きかもね。
ちなみに、改装に伴って今の駅名「マラガ・マリア・サンブラーノ駅」に変更された(2007年)。
マリア・サンブラーノとはマラガ出身の哲学者の名前だそう。
マラガには立派な港もある。
大型クルーズ船が着くあたりには、気の利いたレストランやオシャレなカフェなんかが集まっている人気のスポット。
港と市街地がとても近いので、クルーズ船で来る人にとっては便利かもね。
フラメンコと言えばスペインだけれど、スペインの中でも特にこのアンダルシア地方が中心なのだそう。
フラメンコは2010年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。
この日は丁度マラガの夏のフェーリア(お祭り)だった。ラッキー!
午後になると人々は、お祭り会場へぞろぞろと集まって来る。
お祭り会場に行かなくても、街のあちこちで人々は思い思いに踊り始める。
お祭りに欠かせないこの民族衣装は「トラヘ・デ・フラメンカ」または「トラヘ・デ・ヒターナ」と言うらしい。いかにもアンダルシアらしいデザインで、お祭りにはピッタリ。
フェーリアは本来何かを祝ったり、何かに感謝する祭りだと思うけれど、街の人に聞くと「由来はどうでもいい、とにかく皆で楽しめればいい」とのこと。
フェーリアと呼ばれるお祭りの期間は街中がお祭り一色。
昔の田舎の「年に一度の村祭り」的な大騒ぎだけれど、たまたま来て、祭りにジャストミートするなんて、僕は何かを持っているのかも。
でも、とにかく子供たちの衣装が可愛い。
女の子はフラメンコ、男の子は闘牛士(マタドール)をイメージしたものが大半。
夜まで待てない大人達は明るい内から1杯やり、ギターとカスタネットの演奏が聞こえると踊り始める。
華やかな衣装の女性たちがフラメンコを踊り出す。
ちなみに、本格的なフラメンコショーで踊り子の女性が着る裾の一部が長くなっている衣装は「バタデコーラ」と言うのだそう。
長い裾の部分が尻尾(スペイン語でコーラ)に見えるからだとか。
フェーリアの時期は、赤いハイビスカス、ピンクのブーゲンビリア、紫のジャカランダなどの鮮やかな花々が街中に溢れる頃だけど、中でも白いジャスミンの花は特にフェーリアを象徴する花と言われている。
だから、祭りに参加する着飾ったほとんどの女の子の頭にはジャスミンの白い花が乗っているよ。
ちなみに、アンダルシア地方はスペインの中でも特に美人が多いそうな。
フェーリアは数日続き、夜遅くまで人々は陽気に楽しむ。
メインの会場はこんな感じ。上から吊り下げられているのは、小さな提灯のようなもの。
コンサートや花火大会、移動遊園地などで、そりゃ~もう大盛り上がり。
提灯の会場を上から見たところ。
夜遅くまで(多くの大人は夜明けまで)飲んで、食べて、踊って楽しむので、当然翌日の午前中は人も街もぐったりしている。
しかし、午後になるとまた完全復活するから不思議。
これも万国共通だったりして…。
同じマラガ県のロンダという所に景色の良い場所があると聞いたので、レンタカーで足を延ばしてみた。
マラガから西に約30㎞、のんびりと1時間程走るとロンダの町に着く。
ロンダも歴史ある街で、深いロンダ渓谷に架かるヌエボ橋や立派な闘牛場などが見どころだけれど、まずは郊外に足を延ばしてみた。
市街地を抜けた先には見渡すばかりのひまわり畑が広がっていた。
これを見に来たのだ。
少し枯れかかっていたけれど、これぞ南ヨーロッパという景色にしばらくボ~ッとしていた。
マラガはコスタデルソルの中心都市だが、実際に海に入ったり日光浴ができるのはマラガ近郊のビーチ。
マラガから10㎞程南西に位置するトレモリノスのビーチなどがコスタデルソルの中心となる。
ここには英国やスカンジナビア半島などからの観光客が多いのだそう。
この写真の右奥の方がマラガの市街地。
そして、ビーチの反対側に目を向けるとこんな感じ。
青空の下の真っ白な建物に思わず「コスタデルソル!」と叫びたくなるのは僕だけだろうか。
マラガの街の見どころの話をコロッと忘れていたけれど、マラガはあのパブロ・ピカソが生まれた街だよ。
生家は残っているし、ピカソ美術館には貴重な彼が10代の頃の作品も展示されている。
そのせいかどうかは知らないけれど、人口57万人のこの街に美術館が36もあるのだとか。
また、エルカルナシオン大聖堂やヒブラルファル城、18世紀に建てられた闘牛場など見応えのある歴史遺産も十分ある。
コスタデルソルを代表するものは、フラメンコ、闘牛、そしてシェリー酒。
シェリー酒とはアンダルシアのヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺で造られた酒精強化ワイン(アルコールを加えて度数を高めたワイン)のこと。
このヘレスの英語読みが「シェリー」で、スペイン語では「ピノ・デ・ヘレス(ヘレスのワイン)」となる。
だからヘレス以外の場所で造られたものは「シェリー酒」とは呼ばない。
ちなみに、ポルトガル・ポルトの「ポートワイン」、大西洋・マデイラ諸島の「マデイラワイン」と共に世界三大酒精強化ワインと言われているんだって。
何だかシェリー酒が飲みたくなってきた。
車をさっさと駐車場に入れて、バルでタパス肴にシェリー酒だぁ!
なんちゃって。
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