カメハメハ大王に会いたくて

ハワイと聞くとほとんどの人が思い浮かべるのは、ホノルルのあるオアフ島だよね。
確かにハワイ州の人口の多くがここに集中しているし、有名なマラソン大会もあって、世界中から観光客がオアフ島にやって来る。
でも、ハワイ諸島の中で最も行く価値のある島は?と尋ねたら、現地の人は口をそろえて「ビッグアイランド!」と答えるという。
つまり、ハワイ島のこと。

日本人の1番人気のオアフ島より、現地の人お勧めのハワイ島の方がいいような気がしてきた。
よし、オアフ島をぶっ飛ばしてハワイ島だけに行くことにした。

だって、アマノジャクだもん。

・まずはビッグアイランドのコナへ
・カメハメハ大王はイケメン?
・緑豊かな王の谷
・広い牧場とランチ
・シーニックドライブ
・文字を持たない古代ハワイ人の文字!?

ハワイ州は8つの島で構成され、ハワイ島は一番南にある島。
三角おにぎりのような形をしていて直径は150㎞くらい、広さは四国とほぼ同じ。
島の中央にはマウナケアとマウナロアという4000mを超す山がそびえているので、島の東側と西側では気候が大きく違う。
東側は雨が多く、そのため植物が豊かに育つ。
これに対して西側はカラッとしていて晴れの日が多いのだそう。

で、こんなハワイを統一したのがカメハメハ大王という人らしい。
ちょっとその足跡を調べてみよう!

まずはビッグアイランドのコナへ

日本からの直行便が着くのはハワイ島西側のエリソン・オニヅカ・コナ国際空港。フライトは約8時間で、日本を深夜に出発すればコナには前日の昼過ぎ位に着く。
1日トクしたような気になるけれど、帰国時に1日損した気になるから結局同じだよね。

ちなみに、エリソン・オニヅカさんはアメリカ空軍大佐でスペースシャトルのクルーだったけれど、1986年のチャレンジャー号の事故で亡くなった人。
彼の故郷がこのハワイ島コナのコーヒー農園だったことも含め、彼に敬意を表する意味で空港の名前になったのだそう。
さらにちなみに、彼の祖父母の故郷である福岡県うきは市に「エリソンオニヅカ橋」があるらしいよ。

いつものスタイルで空港でレンタカーを借りて、まずは19号線のクィーン・カウフマヌ・ハイウェイを走ってみた。
抜けるような青空!おお、ハワイ島に来ちゃったぞ~!
なお、写真に写っているのは立派なリムジンだけれど、僕が借りたのはもちろん普通のセダン。

ちなみに、道の名前になっている「カウフマヌ」はカメハメハ大王の后の名前。
また、この道はトライアスロンのアイアンマン世界選手権大会の自転車競技に使用されるんだって。

路脇で見かけるねむの木。
小さい鶏のトサカのような淡いピンクの花が可愛い。
夜になると葉っぱが眠るように閉じるのでこの名前になったらしい。

塩害に強い木らしく海の近くでも平気で育つみたい。

カメハメハ大王はイケメン?

島の北端のハヴィの近くにカメハメハ大王の像があるということなので、会いに向かくことにした。
コナからハヴィまでは1時間くらい。

カメハメハ大王は270号線沿いの町カパアウに堂々と立っていた。

カメハメハ1世(1758~1819年)は1810年にハワイを統一したハワイ王国の初代国王なので、尊敬の念を込めて大王の名で親しまれている。

左手に持つ槍は平和の象徴で、高く掲げた右手はハワイの繁栄を表しているのだそう。
像の顔はなかなかの男前だけれど、この顔は本人とは別人なのだそう。
像を作った後世の王が、当時宮廷内にいた青年の中から1番のイケメンを選んでモデルにしたんだって。
何だか南国らしいアバウトさで好感が持てるね。

ちなみに、カメハメハ大王像はこの他に、同じハワイ島東部のヒロに1体、オアフ島ホノルルのイオラニ宮殿前に1体、そしてアメリカ本土ワシントンDCに1体の計4体あるけど、ここカパアウのものが最初に作られたものなのだそう。
なお、6月11日は「キング・カメハメハデー」でハワイ州では休日。

緑豊かな王の谷

ハヴィから東へ30㎞程のところにあるワイピオ渓谷に向かってみた。

300mの切り立った崖の向こうに広がる緑豊かな森を一望できる展望所がある。
黒い砂浜に打ち寄せる白い波のコントラストがとても綺麗だね。

ここは今でこそ自然豊かで静かな場所だけど、かつてはハワイの政治や宗教の中心地で、カメハメハ大王も幼少期をここで過ごしたことから「王の谷」と呼ばれているのだそう。

展望所から谷へ下る道には注意書きがある。
「すれ違いでは上りの車が優先」と「四輪駆動車のみ」。
無視して普通車で行くと帰ってこられない場合もあるみたいなので、ご注意を。

広い牧場とランチ

ワイピオ渓谷から車で20分程走ったところ、マウナケア山の裾野ワイメアに全米トップクラスの広さを誇るパーカー牧場がある。

牧場の広さは13万エーカー(526平方メートル)(ハワイ州観光局)というから、東京23区(623平方メートル)よりちょっと狭いくらい。
この広さを何人で管理するのかと思わず要らぬ心配をしてしまう。

カメハメハ大王の側近だったパーカーさんという人が設立したもので、1992年まで完全な個人所有だったというからオドロキだね。
ここで2万頭近くの牛が放牧されていて、それを沢山のハワイのカウボーイ「パニオロ」が日々世話をしているらしい。

馬車に揺られながら牧場内を観光するアクティビティもやっている(現在は休止中)。
のどかな気分で牧場を一周するのは、なかなか気持ちがいい。

馬車の待機場所には馬蹄のデザインが施され、さりげなく「ここに車を停めないで」というメッセージが伝わってくるね。
なお、たまにお馬君の「粗相」の痕も見られて、これはこれで微笑ましいかも。

ちなみに、ワイメアの道路標識の「止まれ」は「stop」ではなく「whoa」。
もし、見つけたらチェックしてみてね。

パーカー牧場近くでランチにすることにし、小さなレストランに入った。
ハワイのローカルな料理はプレートランチで出されることが多いので、焼いたチキンを注文。
少しピリ辛だけど美味かったよ。

ハワイの外食産業は昔から多くの日系人が携わってきたため、ハワイのローカル料理には和風なイメージのものが沢山あるのだそう。
だから名前にもその名残りがあり、「ムスビ」はおむすび、「ベントー」は弁当、「スシ」は巻きずしを指すと教わった。

シーニックドライブ

ヒロに向けての東側の道路はシーニックドライブと呼ばれ、空いた道を気持ちよく走れる。

道路の名前どおり雄大な風景の中をドライブできる。
まさに爽快!ワイキキの街中の交通量とは大違いだね。
これはマウナケア山のず~っと下の裾野。
パーカー牧場の敷地かどうかは知らんけど、馬がのんびりと草を食んでいた。

マウナケア山は空気がとても澄んでいるので山頂に13もの天文台があり、日本の望遠鏡「すばる」も活躍しているね。
ちなみに、マウナケア山は標高が4205mと冬には雪が積もる程だけど、島のすぐ側の海底からの高さとしては10203mあって世界一なのだそう。
この後は島で一番大きい街ヒロを抜けて、島の東側を南下するよ。

ちなみに、ヒロはかつて農業と漁業で栄えた街で歴史的建造物も多く残っている。
また、1946年と1960年に地震による津波で大きな被害が出たことでも有名らしい。

特に1946年の時は潮が急に引いていく津波の前兆を町の人々に知らせたにもかかわらず、丁度エイプリルフール当日だったため多くの人が信じなかったことで甚大な被害に繋がった。
「Tsunami(ツナミ)」が国際的に使われるようになったのはこの時からだそう。

南部のボルケーノハイウェイを抜けて西側のケアラケクア湾まで来た。
これはふと見かけただけで、それが何なの的なものだけど、何だかのんびりしたハワイの雰囲気が感じられるよね。
2台とも動くのだろうかという気がするけれど、意外と右のも動いたりして…。

ちなみに、ここケアラケクア湾はキャプテンクックが2度目に来た時に先住民との戦いで命を落とした場所なのだそう。
だから彼の生涯を記念した記念碑が湾を少し歩いた所に建っている。

文字を持たない古代ハワイ人の文字!?

古くからハワイの人々は文字というものを持たなかった。
でも意思を伝える手段は持っていた。どうやって?

古代ハワイ人の遺跡が遺されているワイコロアにやって来た。
文字を持たない彼らの記録手段は「ペトログリフ」。
これは人や動物やモノなどを岩に彫ったもので、ギリシャ語のペトロ(岩)とグリフ(彫刻)から作られた言葉。
溶岩の表面が柔らかくて加工しやすかったから容易に彫ることができたみたい。

なお、ヨーロッパなどでみられる岩を彫るのではなく絵具などで描いた遺跡は「ペトログラフ」と言うのだそう。

また、こんな「ヘイアウ(石造神殿)」の遺跡も遺されている。
カメハメハ大王の命により、ここから30㎞も離れたポロル渓谷から岩を運んで作らせたのだそう。
石積みは高い所で6mもある。王の力は偉大なりだね。

ハワイ島のペトログリフはここ以外でも見られるけれど、ここワイコロアがよく整備されていて説明パネルも丁寧に設置されているからお勧め。

ちなみに、ペトログリフは世界中で発見されているけれど、例えばウクライナのものは1万年位前の「作品」なのに対して、ハワイのものは数百年前ととても新しいのが特長らしい。

空港近くで見かけたコナコーヒーの移動販売車。
ハワイのコナコーヒーはジャマイカのブルーマウンテン、タンザニアのキリマンジャロと並ぶ世界三大コーヒーのひとつ。
ハワイ島の各地でコーヒーの栽培はされているけれど、カイルアコナ周辺の決められた場所で栽培されたものしかコナコーヒーを名乗ることができないんだって。

でもこの移動販売店の店名がなんで「フェラーリ」なんだろう?
まさかこの車がフェラーリ?知らんけど。

この島がアメリカ最南端。

つまりこの島の最南端のカ・ラエ岬はアメリカ合衆国の国土の最南端ということになる。
折角来たんだからそのカ・ラエ岬にも行ってみよ~っと。

なんちゃって。