風車と牛と北海の国際都市

ハーグという都市がオランダの何処にあるか、すぐに分かる人はかなり地理に詳しい人かも。
でも、一番良く耳にするのは「ハーグ条約」かな?
「国家間に於ける子供の不法な連れ去りを防ぐ取り決め」だけれど、一般的に条約の名前はその条約が締結された場所に因んで付けられるため、ハーグで締結されたから「ハーグ条約」な訳。

でも実は「ハーグ条約」って15世紀以来20以上もあって、「陸戦条約」や「阿片条約」「ハイジャック防止条約」など数々の国際条約も全部「ハーグ条約」。
ということでハーグは「平和と司法の街」と呼ばれているらしい。

さすがの僕も「平和と司法の街」は行ったことがないので、オランダのハーグへ行くことにした。

丁度夏だし、気候もよさそうだ!早速、GO!

・実は世界的に結構有名な場所
・郊外はいかにもオランダ
・目の前は北海の保養地

ハーグの最寄り空港は、アムステルダムのスキポール国際空港。
日本からは直行便で12時間ほどなので、ひと眠りしたら着いちゃうってイメージ。

空港でレンタカーを借りて、空いたハイウェイを快適に走ればハーグ市内まで約1時間。

ちなみに、ハーグの正式な都市名は「デン・ハーグ」らしいけど、日本では一般的に「ハーグ」でいいみたい。

実は世界的に結構有名な場所

ハーグは、憲法上の首都アムステルダム、経済の街ロッテルダムに次ぐ、オランダ第3の規模の都市だけれど、事実上の首都と言われているらしい。
それは中世の頃から王国政府の中心であったためで、市内には中世の面影を残す建物が多く残されていることでも分かる。

これは「国際司法裁判所」。
国連の司法機関だが、国連の主要機関で唯一ニューヨークに無い施設。

アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの寄付により1913年に完成したもので、別名「平和宮」とも呼ばれている。

市内には旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷や国際刑事裁判所などをはじめ、多くの国の大使館も置かれ、何と150以上もの国際機関があるのだそう。
確かに「平和と司法の街」だね。

このお城のような立派な建物は、ヨーロッパ最大のエネルギーグループである「ロイヤルダッチ・シェル」の本社。

ガソリンスタンドで見かけるあのシェル(貝)のマークもグループのメンバーだけれど、ちなみにだけどあの貝は日本と関係があるかも知れないよ。

19世紀中頃、創業者のマーカス・サミュエルさんという人がロンドンで東洋の貝殻を扱って成功し、それがあのマークのルーツとのこと。
横浜に石油製品などを扱うサミュエル商会を設立したので、あのマークの貝はもしかしたら日本の貝だったかもね。
知らんけど…。

これは海岸近くにある1885年創業の高級リゾートホテルの「クールハウス」。
外観も立派だけれど、中もゴージャス。世界のVIPも多く滞在するらしい。

トラムが通る大きな通りに面しているエントランスの反対側(つまり建物の裏)は海に面していて、ビーチまではすぐ。

こちらは「ノールドアインデ宮殿」。
1609年に未亡人のオラニエ公ウイレム1世王妃に国が寄贈したもので、長く女王の執務宮として使われてきたとのこと。
現在でも王室の執務宮殿として機能しているので、一般には非公開なのだそう。ただ、すぐ横には広い宮殿公園があり、そこは散策自由だよ。

この他、王室の住居として使われている「ハウステンボス宮殿」もノールドアインデ宮殿から車で5分位の所にあって、確かに事実上の首都というのは間違いないみたいね。

ちなみに、長崎県にあるテーマパーク「ハウステンボス」の中の「パレスハウステンボス」はオランダ王室の許可を得て、この宮殿の外観を忠実に再現したものだとか。

郊外はいかにもオランダ

ハーグ市内から車で少し郊外に出ると、そこにはイメージどおりのオランダが豊かに広がっている。

風車と牧草地と家畜、まさに僕が考える教科書どおりのオランダの風景が、都会からそう遠くない所に広がっていた。
ちなみに、風車は英語では「ウインドミル」つまり穀物などを碾(ひ)く「碾き臼」のことだけど、ここオランダでは使用目的が少し違うみたい。

オランダの国名の正式表現は「ネーデルランド」で、これはオランダ語で「低地の国」という意味。
実際、オランダの国土には湿地が多く、そこを農地や牧場にするためにはまずは水を排水する必要があった。
その動力として風車が不可欠だった訳。
最盛期には1万基以上あり、現在でも1000基ほど全国に残っているらしい。

「風車による排水で湿地は見事に牧場になったよ」と、ドヤ顔で牛が言ってるみたいだね。
ただ、排水することによって当然地盤沈下が起こる。
そのため水が入ってこないようにする堤防(ダム)が各地に作られた。
その名残りが、アムステルダムとかロッテルダムなどの地名に残されているんだって。

ちなみに、現在海抜がマイナスの土地は国土の25%にも及んでいるそうな。

このお花畑も風車と先人たちの努力で出来たと思うと何だか感慨深いものがあるよね。
「この世界は神が創った、しかしオランダはオランダ人が造った」と、オランダの人はそう言うらしい。
それだけ大変だったということみたい。

風車は今では実際に排水に使われることはほとんどないけれど、立派なオランダの観光資源と言えるね。
ちなみに、毎年5月の第2土曜日は「風車の日」で、普段は一般公開されていない風車の特別公開などがある日なのだそう。

道路網は大変良く整備されていて、高速道路の速度制限は130㎞/hなので快適に運転できたよ。
もちろん僕はそんなに飛ばさないけどね。
なお、奥に見えるのは国際長距離列車。

目の前は北海の保養地

ハーグはイギリスとスカンジナビア半島に挟まれた北海に面しているので海の幸も豊か。

ハーグ市内の魚屋さんも覗いて見た。
日本の魚屋さんとはイメージが大きく違うけれど、現地の人に聞くとこれで至って普通とのこと。

オランダの人が1番好む魚がニシンで、それを塩漬けにした「ハーリング」というのがよく食べられているのだそう。
魚を加熱しないで食べる習慣は日本以外ではほとんどみられないけれど、このハーリングは塩漬けをそのまま食べる、あるいはパンにピクルスや刻んだ玉ねぎなどと挟んだ「ブローチェハーリング」で食べるとのこと。

毎年夏の初めにはニシン漁解禁を祝ってハーリング祭りが開かれるのだそう。

これはキンキの仲間かと思うけれど、日本ではなかなかやらない陳列方法。
ある意味インパクトはあるけどね…。

他に北海でよく獲れるのは、ムール貝、サケ、ヒラメ、エビなどらしい。

デンハーグ中央駅近くのヘーレングラハト通りで見かけた自転車用の信号機。

街中には自転車が結構多い。
健康や省エネ、CO2削減などに対する意識が高い感じがするね。
でも、自転車の絵が何だか可愛い。

ハーグの海岸はスフェヘニンゲンと呼ばれる人気のリゾート地。
ドイツなどからの観光客がたくさん来るのだそう。

桟橋の先にはレジャー施設やショッピングアーケードがあり、近隣にはカジノなども営業している。
ここは砂浜なので水着姿で日光浴をしてる人は結構いたけれど、実際に泳いでいる人は見かけなかった。
さすがに北海というくらいだから水が冷たいのだろうね。

ハーグには国際機関がいっぱいあるけれど、エッシャーの作品が堪能できる「エッシャー美術館」とか、オランダ絵画の黄金期の作品が多く見られる「マウリッツハイス美術館」、あるいは実際の都市を25分の1のミニチュアサイズで作った「マドローダム」と言うテーマパークなど楽しめる見どころはいっぱいあるよ。
だからハーグをしっかり楽しむなら3日以上の滞在がお勧めだね。

さて、そろそろ夕食なのでオランダと言えば「ハイネケンビール」でしょ!
でも明日は朝早くからレンタカーでドイツに向かうんだっけ。
それじゃあ、オランダ発祥のココア「バンホーテン」にしちゃおうかな。

なんちゃって。