歴史、文化、生活、そして色彩

古来より多くの文化や技術が中国から朝鮮半島を経由して日本に伝来した。
また、朝鮮半島は中国と共に長い歴史を誇る。
中でも韓国は日本のすぐ隣の国であるけれど、その文化や生活は日本とはかなり違う部分がある。

そんな、近くてちょっと遠い国を見たくなったので、首都ソウルを目指すことにした。

決して、冷麺と焼肉に惹かれたわけでは無い。
多分ね。

・建物の造形と色彩
・色づかいで引き込まれる食
・韓国らしさを訪ねて

首都ソウルの仁川国際空港までは関西空港からだと2時間弱。
関空から那覇へのフライトとほぼ同じ時間で、まさにあっという間に着いてしまうという感じ。

空港からソウル市の中心までは直通電車で約40分。
普通列車だと約1時間かかるけれど、こっちの方が安く行ける。

ソウル市は正式には「ソウル特別市」で、日本で言えば普通の市と政令指定都市の違いのようなイメージ。
ちなみに、「ソウル」とは朝鮮語で「首都」の意味。

建物の造形と色彩

ソウルの緯度は福島と大体似たようなものだけれど、大陸の影響を強く受けるので冬は相当寒い。
だから、寒いのが好きな人以外は真冬はかなり厳しいかも。

まず、日本と韓国とで違いがあるのは「色づかい」が挙げられるかな。

韓国の国宝登録第1号の「崇礼門(スンネムン)」。
一般的には「南大門」と呼ばれることが多いのは、朝鮮王朝時代の城郭にあった門のうち1番南にあったから。
李王朝時代に造られ600年の歴史があり、観光客にも人気のスポット。
ソウルで最古の木造建築だったけれど、2008年に放火により全焼してしまった。

2013年には再建されたが、これは焼失前の写真。
この建築に伝統的な色づかいを見ることができるよ。

近寄って見ると、色づかいがとても鮮やかなのが分かるね。
伝統色を用いて建物を彩色すること、又はその色を「丹青(ダンチョン)」と言うらしいけれど、三国時代から行われている手法で「威厳を示し全ての邪気を追い払い、現世の安寧と来世への祈願」を示すものなのだとか。
確かに、宮殿や法堂などの特別な建築物に丹青を用いることで、荘厳な雰囲気と威厳が現れているね。

ちなみに、門の名が書いてある扁額は普通横書きなのだけれど、ここのは縦書きでとてもめずらしいんだって。
これは風水に基づいてのことらしい。

建物の軒の部分だけれど、横から見ると丹青が一層良く分かる。

五行説に基づく基本五色の青・赤・黄・白・黒と中間色に当たる緑・碧・紅・紫・硫黄を組み合わせて綺麗に模様が描かれている。
鮮やかな色がたくさん使われているのに、落ち着いた印象があるのは、互いの色のバランスが上手く取れているからかな。
さらに、絵具に顔料だけでなく漆や膠(ニカワ)なども加えることで、装飾と同時に防腐の効果もあるのだとか。

ちなみに、五行説とは「衣食住をはじめ人を取り巻くすべてのモノやコトは、食材、季節、臓器、健康、色彩など全てが繋がって互いに影響を及ぼし合っている」という考え方だそう。

例えば、五臓六腑の「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」もこの五行説に基づくもので、健康でいるためにはひとつの臓器だけでなく、互いに影響しあっている臓器全体で看ていく必要があるということみたい。

これは丹青が施された建物の屋根飾りだけれど、先頭は仙人でそれに続くのが神獣(お供の動物)とのこと。
この屋根飾りは中国から伝わったもので、魔除けや火除けのためらしい。
神獣の数も建物の格によって1,3,5,7と違うのだそう。

日本の鬼瓦や鯱(しゃちほこ)、シーサーなんかと考え方は同じみたいだね。

ちなみに、これと同じような屋根飾りは、日本国内では横浜や神戸の中華街の入口にある門の瓦屋根にあるので、行った時には見てね。

色づかいで引き込まれる食

次は食材としての色を見てみよう。

南大門の近くには有名な「南大門市場」がある。
15世紀半ばに出来たとされ、食品、衣料品、日用品、雑貨、土産物などの販売店をはじめ食堂など1万店以上の店舗がひしめく活気のある市場。
日本で言うなら上野の「アメ横商店街」的な場所かな。

食品は色んな種類が置かれているけれど、唐辛子の色彩がやっぱり一番に目に飛び込んで来る。

キムチやチゲなどに欠かせない唐辛子。
青唐辛子は早めに収穫したもので、加熱すると辛味がマイルドになるのだそう。(ただし、品種によってはこの逆もあるので十分注意してね。)

これに対して赤唐辛子は赤く熟すまで待ってから収穫したもので、加熱により辛味は倍増するのだとか。
コチュジャンや豆板醬の材料としても不可欠なものだね。

ちなみに、コチュジャンは米や麹に唐辛子を加えて作るものでやや甘味もある。
これに対して豆板醬は豆類にごま油と唐辛子を加えて作るもので強い辛味と塩味が特長だとか。

もちろんキムチも売っている。
赤唐辛子でもキムチでも赤い色というのは不思議と引き込まれるし、また食欲も刺激するよね。

ちなみに、「キムチ」は元々は単なる白菜の塩漬けで、それにニンニクや山椒を加えたものだったそうな。
でも、16世紀になって日本から唐辛子が伝わると、次第に山椒の代わりに用いられるようになって今の姿になったらしい。

これはレストランではなく知り合いの家に招待されて振る舞ってもらったもの。
客人が来るので奮発したメニューだと思うけれど、宮廷料理と言って良いくらい立派だった。

正統派の韓国料理は李朝時代の宮廷料理がベースにあるのだとか。
ここでも五行説の考えが生きていて、食事にも5つの色合いを取り入れることで健康を保つと考えられている。

たとえば「ビビンバ」で言うと、使われている食材の色が、青(ほうれん草やキュウリ)、赤(人参や牛肉)、黄(南瓜や卵黄)、白(大根やもやし)、黒(海苔や胡麻)と五行説の色に一致している。

要は色んな食品をバランス良く食べなさいというのを、色という切り口で分かりやすく言ってるんだね。

韓国らしさを訪ねて

他にも色々と韓国らしさを探してみた。

これは景福宮(キョンボックン)の中にある建物の天井画だけれど、色づかいだけでなく図柄もはっきりしているね。
これに対して、日本は色づかいでは「わびさび」の世界で渋い色や落ち着いた色合いも多く見られ、また図柄では幽玄のイメージでもっとフワァっとしたもの多い。

これら色づかいや図柄の違いは風土や気候、国民性などにあるのかな?
知らんけど…。

ちなみに、景福宮は14世紀頃の朝鮮王朝を代表する宮殿。
景福宮の中には「国立民族学博物館」もあるので、一度に古宮と博物館の両方が楽しめるよ。

市内のデパートにも行ってみた。

これは食品フロアのイカの干物売り場だけど、日本とは雰囲気が違う。
天井からぶら下がった大量の干しイカが明らかに「市場」のイメージ。

また、同じく天井から吊り下げられている巨大なイカの作りものもとてもユニークだね。

朝鮮半島と言うくらいだから「朝鮮人参」という発想で、せっかく来たのだからと別な切り口で韓国らしさを訪ねてみた。

滋養強壮などに使われる朝鮮人参(オタネニンジン)はウコギ科の植物で、料理で食べるセリ科のニンジンとは全くの別物。
育てるには土づくりに2年、そして栽培に4~6年かかる上、雨や直射日光を避けるなどとても手間がかかるので、大変高価なのはご存知のとおり。

特別な許可をもらって入れてもらった朝鮮人参畑だけれど、ここはソウルからかなり北に上った場所で、38度線まであと少しという位置。
そのせいか軍の戦車を何台も見た。

そうだ思い出した。北朝鮮との朝鮮戦争はまだ終わっていなくて、今は休戦状態。つまり戦争中ということ。徴兵制もあり、ここが日本と最も違う点かな。

さて、そろそろソウルに戻って夕食といきますか。
韓国らしさを味わうには、まず「ネギのチヂミ」に「マッコリ」かな?

なんちゃって。