雪山のイメージが強いスイスの地図を眺めていると、意外に湖がたくさんあるのに気付いた。
その中でいくつかの湖と繋がることで複雑な形になっているルツェルン湖が目に留まった。
そしてそのすぐ近くには2000m級の山がいくつもあるようだ。
よし、とりあえずスイスの玄関口チューリッヒを目指すことにしよう。
スイスは日本から約9500kmの距離にある。
玄関口のチューリッヒまではスイス・インターナショナルエアラインズ(旧スイス航空)が唯一直行便を運行している。しかし、ヨーロッパ各地を経由する便ならいくつもの航空会社が運行しているので、多くの場合こちらの方が安く航空券が手に入るみたい。
僕はそこまで急いでいないので、フランクフルト経由でチューリッヒ・クローテン国際空港に降り立った。
チューリッヒから目指すルツェルンまではスイス国鉄(SBB)を利用した。
ルツェルン方面の電車はほぼ1時間おきにあって、およそ1時間でルツェルン駅に着く。
地図で見るとルツェルンはほぼスイスの中央にあり、スイス発祥の地とも言われているんだって。
僕のスイスの鉄道に対する感想は「すごい!」の一言。
何がすごいのかと言うと時間通りに運行されるということ。
多くの日本人は当然過ぎて驚かないけれど、色んな国で鉄道に乗った僕にすれば感動ものだったね。
ただし、案内アナウンスや発車ベルなどは無いので注意してね。
ルツェルン湖のすぐ側にあるルツェルン駅を出て左方向に大通りを渡れば、ルツェルンを代表するカペル橋が見えてくる。
これは14世紀に城砦の一部としてロイス川に架けられたもの。
街のシンボルとなっている八角形のヴァッサートゥルムは元は見張り台だったそう。
実際に橋を渡ると天井部分にはスイスの歴史や街の伝説などが描かれた絵が飾られていて、あたかも美術館のようで「渡るに値する橋」と言えるね。
橋が木製だったため1993年に火災で焼失してしまったけれど、翌年には再建されたとのこと。
良かったね。
こちらはカペル橋の少し下流に架かるシュプロイヤー橋。
こちらも街を守る城砦の一部として15世紀に作られたもので、カペル橋と同じように橋の途中で曲がっているのが特長。
こちらも一見の価値あり。
僕は基本的に街中を歩き回らないと気が済まない。
ロイス川沿いを歩いていたら蚤の市が開かれていた。
ヨーロッパの街はだいたいどこへ行っても蚤の市があるような気がするね。
そして、どこでも感じるのが「こんなもの売れるの?」ということかなぁ。
持ち主が自分で描いたのだろうけれど、かなり目立つ。
でも、こんな芸術っぽいところがヨーロッパのいいところかな。
旧市街をウロウロしていると石畳や城壁の跡とか立派な彫刻なんかに出会うけれど、やはり人間観察が面白い。
日本ではあまり見かけないけれど海外ではよく見るベビーバスケット。
石畳や階段などが多い街ではベビーカーよりも結構合理的かもね。
ルツェルン観光のハイライトと言えば、間違いなく「ルツェルン湖」。
作曲家のリヒャルト・ワーグナーがルツェルン湖を見て「世界中でこれ以上、美しいところを私は知らない」と言ったとか。
中央に見える橋がロイス川の始まりのあたり。
カペル橋はその少し右手にある。
ルツェルン湖は正式名は「フィアヴァルトシュテッテ湖」といい「4つの森の州の湖」の意味らしい。
ルツェルン湖はスイスで5番目に大きな湖で(スイス領だけの面積では4番目)、その広さは113㎢と日本の猪苗代湖とだいたい同じくらい。
また、南のウルナー湖や西のアルプナッハ湖などとも繋がっていて、複雑な形になっている。
中央奥に見える山がピラトス山ピラトゥス山。この後、行くよ。
ルツェルン湖を水の上から見たくなったのでクルーズ船に乗ることにした。
乗り場は駅のすぐ近くにある。
船の運行は1837年からと結構歴史があるよ。
赤くてかわいい登山電車だけれど開業が1889年と100年以上の歴史がある。
このあたりはルツェルン湖から標高1500mくらいまで急斜面が続いてる地形。
だからかわいい電車だけれど最大傾斜度が48%と世界一。
で、何故小さい電車がこんな急坂を登れるかと言うと、ラックレールという歯車を使う方式なので登れるという訳。
ちなみに傾斜度が48%というのは、水平距離で100m進むと48m上るということで、角度で言うと24度くらいになる。
実際に乗って見ると急角度は半端ない迫力だよ。
ちなみにピラトゥス山の語源は、イエスを処刑した古代ローマの司令官の名前とか。
だから山には彼の亡霊がいると信じられ、中世まで山に登ることは固く禁止されていたそうな。
ピラトゥス山にはピークがいくつかあるけれど、最高峰は登山電車の頂上駅であるトムリスホルンで2132m。
見晴らしは抜群だけれど、少し速足で動き回るとすぐ息が切れるので、空気が薄いのが実感できるよ。
ちなみに駅の上は「ベルビュー(絶景)」と言う名前のホテル。
僕が行ったのは真夏の7月で、もちろん暑い日。
でも2000m以上の山頂は震えるほどの寒さ。
Tシャツだけで来てはいけなかったのに今気が付いた。
でも山頂には高山植物だろうか、キレイな花が咲いていたよ。
これはツリガネニンジンみたいな花かな。
こちらはシシウドみたいな花。
「みたい」と言うのは僕が花の名前をよく知らないから。
誰かスイスの花に詳しい人がいたら是非教えてね。
美しい花の鑑賞も寒さには耐えきれず、止む無くまた登山電車で下山した。
僕は路地裏や現地の人々の暮らしを見るのが好きなんだけれど、ここルツェルンは歴史を感じる街並みに加えて、湖も船も登山電車も山もみんな面白い。
僕はいろんなところへ行った時、いつも思うのは「一生に一度は来るところだね」ではなく、「一生に二度は来るところだね」なんだ。
何故かって?「一度」だったらそれで終わりでしょ、でも「二度」なら、また来られるってことで夢があるじゃない!
なんちゃって。
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