アドリア海の港町で時代祭り

「アドリア海の真珠」と言えば誰もがイタリアの「ベニス」と思い浮かべるよね
でも真珠の首飾りはもう少し長いらしい。
そこでベニスの隣町に当たる「キオッジャ」という町を目指すことにした。

・ベニスのとなり町「キオッジャ」を目指す
・リド島からペレストリーナ島へ
・半信半疑でいざ連絡船に
・船の横を人が歩いているぞ?!
・ちょうど時代祭りの当日だった
・600年前の生活を再現
・アドリア海屈指の港町

日本からの観光客はベニス本島には沢山行くけれども、滞在日数が少ないせいかそれ以外の島にはあまり行かないみたい。ましてや隣町のキオッジャまで足を延ばす人はほとんどいないと思う。
そんなあまり人が行かないような所が僕は大好き!

うん、正統派のアマノジャクです。

ベニスのとなり町「キオッジャ」を目指す

キオッジャへの出発点はリド島。
ベニス本島の南東にある島で、あの世界三大映画祭のひとつであるヴェネツィア国際映画祭の会場でも有名だね。

ここリド島はベニス本島と違って自動車が通っているので、地元の路線バスでキオッジャを目指すことにした。

船着き場近くのバス停から系統11番の「ペレストリーナ」行きに乗る。
バス停の標識に11と書かれている、これが目印。
バスは概ね1時間に2本ほど運行されている。

で、バスに乗り込んだのだが…。

バスの中はこんな感じ。至って普通の路線バス。
実はバスに乗る時、「キオッジャに行きたい」と言ったら「11番に乗れ」と言われて乗っただけで、乗っているうちに段々不安になって来た。

乗り降りする人がいないのでバスはひたすら走る。
島には信号が無いので、細い道をただただぶっ飛ばすのだ。

20分程走ってバスがやっと止まった。しかし…。

リド島からペレストリーナ島へ

バスはドアを開けることなく、何とそのままフェリーに滑り込んだ。

さすがに不安になった僕は隣のおばさんに聞いてみた。
「これ本当にキオッジャへいくよね?」。
「大丈夫、キオッジャは小さなベニス、とっても綺麗なところよ!」と、とりあえずひと安心。

フェリーは10分程で対岸に到着。

対岸に到着したバスは、また細い道をぶっ飛ばす。道の右はすぐ海、左は防波堤が続く。
15分ほど走ってバスは小さな建物の前で止まると、乗っていた人々は皆その建物に入っていく。
僕もついて行くが、キョロキョロして明らかに周りから浮いている。

ここで初めて分かった。
さっきのフェリーはリド島から、このペレストリーナ島へ渡るフェリーだったことを。
そしてこの終点はキオッジャへ向かう船の乗り場のようだ。

本当に「行き当たりばっ旅」だ。

半信半疑でいざ連絡船に

バスが着いて程なく船が来た。
ほとんど直ぐに来たということは、バスと船の時間が連絡しているということみたい。
まだ一抹の不安はあるが、腹を括っていざ連絡船に。

船はベニスでよく利用されている水上バス「ヴァポレット」だが、船自体はそれより少し大型。

船室から甲板に出ると気持ちいい。
おお、これがアドリア海だぁ!

船の横を人が歩いているぞ?!

びっくりした!
そこそこ大きな船が通っているすぐ横の海を人が歩いている~!

あとで聞いたら、この辺りは潟(ラグーン)でもともと浅く、そこで小舟の横に下りて漁をするのだそうな。
だから大きな船が通る場所だけ深く掘っているんだって。

船に揺られること約20分で船着き場に到着。
「キオッジャ」って書いてある。
リド島のバス停から1時間以上かかったけど、やっとキオッジャだ!

ちょうど時代祭りの当日だった

船を降りて街に出てみると、結構な人出。

タイツを穿いた中世の騎士のような恰好の人が沢山いる。
行進していたり、旗を振り回したりしているぞ。

でも、この格好は街並みとピッタリ合っているよね。

実はこの日はキオッジャの「時代祭り」の最終日。
全然知らずに行ったけど、ラッキー!

600年前の生活を再現

騎士のパレードだけでなく、昔の人々の生活も再現されていたよ。
これは1380年のキオッジャ軍がジェノヴァ軍と戦った「キオッジャの戦い」に勝利したのを記念したお祭りなんだそうな。
「キオッジャの戦い」は海戦で史上初めて大砲が使われた戦争なんだって。

1380年と言えば今から600年以上前。日本では室町時代の初めといったところかな。
街中の至る所で当時の生活が再現されていた。

これは洋服屋さん。お姉さんがいろいろと説明していたよ。

こちらは農家さん。
みんな完全に成り切っているところに好感が持てるよね。

こちらの大きいノートは来場者が自由に感想を記入するもの。
近くで見ていたら、この白い服のおじさんが「おまえも何か書いていけ」というので、日本語で記入したらその文字をみた子どもが不思議な顔をしていたっけ。

他には、楽器を演奏する人達、実際にパンを焼く人、当時の武器を実演する人など、たまたまとはいえ得難い経験の1日だった。

アドリア海屈指の港町

キオッジャはベニスと同じく潟(ラグーン)を元に造られた街。
だから街並みはベニスに似ているけれど、ベニスのような観光地という印象は無い。まさにリトルベニス。

キオッジャはベニス本島からわずか25kmほど南にある、昔からの漁港の街。
雑踏からちょっと足を延ばせば、偶然の素敵な出会いがいっぱい待っているかも。

やっぱり「行き当たりばっ旅」はいいもんだね!

なんちゃって。