ワオキツネザルとカメレオン
アフリカ大陸の南東に浮かぶ世界で4番目に大きな島マダガスカル。面積は日本の国土の1.5倍程。でも人口は日本の1/6程なので、人口密度はかなり低い。
首都のアンタナナリボは標高が1300mと高いので、冬は最低気温が10℃くらいにまで下がりかなり寒いみたい。
まずは、アンタナナリボからフォートドーファンという町まで飛行機で向かう。1時間半程のフライトで着いたフォートドーファンは今回の目的地であるベレンティーの玄関口に当たる。
ベレンティーを目指した目的は、もちろん「ワオキツネザル」!楽しみだ!

ロッジ丸ごとワオキツネザル
フォートドーファンから西へサイザル畑を眺めながら車で4時間程走るとベレンティー自然保護区に着く。
ベレンティー自然保護区は国立ではなく民営なのでその中にロッジが建っている。
ここに暫く滞在となる。

ワオキツネザルはレムール(原猿)に分類され、サルの祖先に当たる。生態はほぼサルだが、顔つきがキツネに似て、尻尾に輪のような模様があるのでこの名前になったとのこと。
ちなみに、ネズミキツネザルというのもいるが、現物を見ないで冷静に形を想像するとかなり不気味だ。
春(9~11月)はワオキツネザルの出産シーズンなので、この頃に行くとこのように赤ちゃんとお母さんのセットが見られる。
また、11月からは雨季が始まるので行くなら春がお勧め。
ワオキツネザルの顔は犬のシベリアンハスキーみたいで怖いイメージだが、実際は大変おとなしい。
特にベレンティー自然保護区では飼育しているわけではないが、人にとても慣れていて、バナナを手から食べたり肩に乗ってきたりする。赤ちゃんも本当にかわいいが、母親にしがみついて決して離れようとはしない。

ワオキツネザルのようなレムールの仲間は、遠く離れたスマトラやスリランカなどにはいるが、わずか400㎞しか離れていないアフリカ大陸にはいない。
これはマダガスカルがインド大陸から分かれるより、はるか昔にアフリカ大陸から分裂したことを意味するらしい。

このロッジの周辺にはベローシファカも住んでいる。
こちらも大人しいが、ワオキツネザルより警戒心が強いのか、あまり人間のすぐ側までは来ない。
ベローシファカは木の上では動きは軽やかだが、地上を移動するのは得意ではないようだ。
地上では横跳びで移動する姿がとてもひょうきんに見えてかわいい。もちろん本人(本猿)は至って真剣なんでしょうが。
ちなみに、ほとんどのベローシファカは横跳びで移動するけど、一部はこの写真のように縦飛びで前進する。
これは若い個体だそうで、若いと力があるので前に飛んで進むことができるのだそう。
夜になってロッジ近くの森に出掛けるとロリスに出会った。
夜行性なので目が大きい。尾はほぼ退化して無く、動きは大変ゆっくりしている。
名前はロリスだがリスではなく、これもレムールの仲間。
この周辺では他にも、インドリ、アイアイ、メガネザルなど多種類のレムールの仲間を見ることができる。
ちなみに、このロッジは夜間発電機が止まるのでトイレに行くにも懐中電灯が不可欠だ。
世界の2/3のカメレオンがいる
地球上にはカメレオンの仲間が86種類(諸説あり)いるとされ、その2/3をここマダガスカルで見ることができる。
車を止めてドライバーが道路わきの林のなかでゴソゴソすること数分。カメレオンを捕まえて見せてくれた。
簡単に見つかるということは、それだけ沢山いるということか。

出会った子供もカメレオンを捕まえて遊んでいた。
いじめているわけではないようだった。ほぼ野生のペットという感じ。
道路で時々見かける「カメレオン横断中」の標識。確かに数が多いんだろうね。

車で走っているとドライバーが急ブレーキをかけたり急ハンドルを切ったりすることが何度かあった。
そういう時は必ずと言っていい程、動物が横断中だった。
一番多いのがカメレオンだが、こんな小さなヒナも幹線道路をよちよち歩いていた。
巣から勝手に出てきたのか、親鳥とはぐれたのか分からない。
行く末が心配だが、自然に任せるほかはない。
自然の中で逞しく生きる
自然が豊かなマダガスカルでは、のんびりとした中にもみんな逞しく生きている。
マダガスカルには、トラや熊といった猛獣はいない。
しかし石の陰などにはサソリも普通にいる。
危ないと言えば危ないが、これを知った上で生活すれば何の問題もないのだそう。
ちなみに、このサソリは毒は大したことないので平気と言っていたが、僕は触る気はない。
こらがマダガスカル航空のロゴデザインに使われているタビビトノキ。広がった葉の方向が東西を示すので、昔の旅人はこの木を見て夜でも方向が分かったのだそうだ。
これも生活の知恵。
途中であったいかにも農家という親子。少年の笑顔か逞しい印象。マダガスカルではあちこち回ったが、どこでも感じることは子供が多いということだ。国民の平均寿命は日本人より30歳近く短いけど、それだけ若くて活力があるとも言えるだろう。
ベレンティーでは沢山のレムールに会った。
彼らは原猿というくらいだから、太古の昔の特長を残しているのだろう。
我々人間にも、変わっていくもの、変えていくべきもの、そして変えてはならないものなんかがあるんだな…なんて考えてしまった。
なんちゃって。