イタリア南部の観光都市ナポリ。ほとんどのガイドブックには”抜群の治安の悪さ”が強調されている。
しかし、人通りの多い通りでは強盗はめったにない。むろんスリは沢山いるので注意に越したことはない。
ナポリは街が世界遺産になっていると共に、ヴェスヴィオ火山、ポンペイ遺跡、カプリ島など他にはなかなか無い見どころが沢山ある。ここも色々と覗いてみよう。
ローマからナポリは約200㎞。日帰り観光も可能だが、とにかく時間に追われるのが嫌いな僕は数日ナポリに滞在するつもりで向かった。
ローマ・テルミニ駅からナポリ中央駅まで特急列車で約2時間。
高速列車なら70分で来られるが、そこまで急いでないし、だいたい高速列車は料金が高い。
イタリアに4つある王宮のうちのひとつであるナポリの王宮。
かつてこの地を治めていたブルボン家のもので17世紀に建てられた。
1階の外壁にある像は、フリードリヒ2世やヴィットーリオ・エマヌエーレ2世など12世紀にナポリ王国が建国されて以来の歴代の王たち。
王宮の西側にあるのが、プレビシート広場とサン・フランチェスコ・ディ・パオラ大聖堂。
ヨーロッパの歴史的建造物を見ると、クレーンもブルドーザーも無い時代によくこんなすごい建物を作れたといつも感心する。
ちなみに、「プレビシット」とは「国民投票」という意味で、1860年10月21日にこの場所で行われた市民による投票で、ナポリはシチリア王国からイタリア王国の併合になったという記念の場所だそうだ。
こちらが商業施設のガッレリア・ウンベルト1世。
高さ58mのガラス天井がまるで芸術品のようだが、できたのは100年以上前と聞くと「大したもんだ」のひと言しか出てこない。
ナポリに限らずイタリアのどこでもピザが食べられるが、実はナポリがピザ発祥の地らしい。アラブ圏で食べられていた「ピタ」というパンのようなものが、ここナポリでピザに進化したとのこと。
確かにここナポリで食べたピザは旨かった。
有名なポンペイ遺跡も地理的にナポリとセットという感じかな。
ナポリの街からよく見えるヴェスヴィオ山。
1880年にできたヴェスヴィオ山登山電車(フニコラーレ)のCMソングが「フニクリフニクラ」。電車は1944年の噴火で破壊され、今は無い。
ナポリからポンペイ駅は電車ですぐ。
団体の観光客は大抵バスで来る。電車を利用するのは個人で来た人が中心。
ポンペイはきれいに碁盤の目になっていることから計画都市であることが分かる。
これは紀元62年に起こった大地震によって近隣の町に大きな被害が出たため、皇帝ネロが命じて建設させた新しい街だからだそう。
これは水道
こちらも水道。
高い芸術性と遊び心が感じられる。
ポンペイは大きく発展し、人口は1万人以上になったとされる。
しかし、紀元79年のヴェスヴィオ山大噴火による火砕流と火山灰によって、2000人が犠牲になり街も消滅した。
この噴火によって3000mほどあった山の2000m近くが吹き飛んだという。
ポンペイはナポリ観光の目玉のひとつだけあって、観光客は大型バスで引っ切り無し来る。
バスが着けば遺跡の中はごった返すが、20分も待てばまた静寂が訪れる。
やはり2000年の時の流れを実感するには、抜けるような青空の下で一人静かに腰を下ろすのが一番だね。
ローマで飲んだ缶ビールのひとつに「グロッタ・アズーラ(青の洞窟)」というブランドがあった。よし、青の洞窟へ行ってみよう。
青の洞窟があるのはナポリの沖30㎞にあるカプリ島。
ナポリの港からこの高速船で約40分ほど。確かに早いが窓の外が汚れていて景色が良く見えなかったのが残念。奥にみえるのはヴェスヴィオ山。
ちなみに、帰りはフェリーに乗った。
甲板に出て風景をたっぷり2時間以上楽しめたが、フェリーに観光客は他に一人もいなかった。やっぱり観光といえば時短できる高速船みたいね。
カプリ島に到着。島で一番高いのは589mのソラーロ山で、ケーブルカーで登ることができる。
港から早速青の洞窟へ向かうことにする。
ボートのチケット売り場には「青の洞窟への移動」と書かれている。普通だったら「青の洞窟観光」と書くんじゃないのと思いながら、20人程乗れるモーターボートで出発。
ものの数分で到着。とここでは手漕ぎの小型ボートがウヨウヨ待ち構えていた。
なるほど、ここまでが「移動」でここから先が別料金の「観光」なのだと理解。
洞窟の入口は狭く、ボートに寝そべるくらいの体勢を取らないと頭をぶつける。
だから海が荒れた時や満潮時には入ることができない。洞窟の中は思った以上に広く、水全体が確かに青く見える。
まあ、1回来る価値はあると思う。
港のあたりはとても賑やかで、飲食店は土産物店が沢山並んでいる。
その中に昔懐かしい射的の店があった。子供の頃、祭りの屋台の中にあったのを思い出した。
島のタクシーにはクラシックカーも使われている。
クラシックカーはやはり原色が良く似合っている。
また、オープンカーなのもいかにも南イタリアという感じがする。島にはセレブたちの別荘も多いそうなので、こんなタクシーに乗ったセレブもお似合いかも。
水はとてもきれいで港近くでも海水浴ができる。
ナポリは世界遺産の旧市街地だけでなく、ポンペイ、ヴェスヴィオ山、カプリ島と雰囲気の異なる場所をテンコ盛りで堪能できる所だ。
それぞれに違った表情を見せながら、豊かな歴史の流れと南イタリアの陽気な雰囲気が楽しめる。
昔から「ナポリを見てから死ね」なんて言うけど、これは「ナポリを見るまでは死ぬな」ということだね。でも、生きてるうちにもう何度かは来たいよね。
何だかここが気に入ったので、もう少し居て、ナポリピザをアテにうんと冷えた白ワインを飲んじゃおうかな。
なんちゃってね。
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